Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
そして、男の心は、自分の手くだ一つで、どうにでも変りうるものと信じている。
九兵衛はお粂を外に誘って、
「わしはこれから一軒の荷元へ寄って、秋繭の相談をすまし、その話の都合次第で、明日にも江戸へ帰るとするから、どうだな、そこまで一緒に来てくれないか」
それにもお粂に異存がないので、
「では、支度でも直して」と、城下でも一流の料亭に草鞋をぬぎ、風呂をわかさせてお粂にもすすめ、女中や帳場にも祝儀をおろして、随分鷹揚な旦那ぶりをみせました。
「うーム、おまえは舞台顔よりは、そうして湯上がりの薄白粉の方が遙かにいい。どうだな、小屋者の足を洗って、気が涼しくなりあしないか」
「ほんとに、これでせいせいしましたよ」
「そうだろう。さ、酌いでくれ。おまえも一杯……」
「え」
酒の顔を見て、お粂が急に眉を顰めたのは、まだ今朝の悪い気分が澱んでいるものとみえます。
九兵衛はあしらいよく、
「それだからいけないよ。飲むさ。頃合に飲んでごらん。迎え酒というやつだ。だが、自棄はいけない、江戸へ行って、浜町の別宅に納まってもらっても、自棄酒は御法度ということにしてもらいたいね」
ふた口、三口飲ると、胸につかえていた不快なかたまりもさがったような気がして、今朝のがぽっと目元へ出ます。