Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
首のかわりに、その髪の毛でも、たたきつけて見せれば沢山です」
「なるほど」
金吾の心も、何かしら、ほッと救われたようでした。
彼としても、すでに非を悟った上、魔薬の力をかりて自殺した女の首を、むざと、それこそまったくむざとです、掻き斬ッて、いい気持のする理由はありません。
で、九兵衛のいうがまま、首にかえて、お粂の黒髪をぶッつりと切り、くるくると懐紙に巻いて、それをふところに、
「さ、行こうか」
と、先を急ぎます。
「――南無阿弥陀仏」
立ちながら九兵衛はそこを片手で拝んで、
「じゃ、片づけているまもありませんから、死骸はこのままにして行くとしましょう……」と、五、六歩あゆみ出しましたが、ふとまた草の露に振顧って、
「あ、あれ。金吾様見てごらんなさい。ここから見ると、お粂の死骸に魔薬が青く光っていますぜ」
「いや、螢だろう」
「え……な、なるほどそうか。は、は、は、は。九兵衛も少し凡眼ッてやつになりましたかな。だが、煩悩の仏さまだけに、螢もうつりがわるくねえじゃアありませんか。オオどれ」
あとは無言で、暫くの間、螢のやみを駆けました。
そして、鼻寺の近くまで来ると、