Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
全身を黒衣にくるみ、目ばかりピカピカさせたやつ、なんのことはない四本足の蜘蛛と思えばたいして間違いはないヘンな人間が、手に一つずつ嵯峨流の忍法手灯を持ち、ひとりならず二人ならず、土蔵の中の四角な暗天地に、鍵繩をかけたり数珠梯子をわたしたりして、あやしき活躍をいとなんでおりました。
――塗籠です。
耳をつけても外では音の知れッこはありません。
――でまさかにそれとは知らなかった。混血児のお蝶も、また、錠前をカチカチやりだした御本人の龍平も。
ところで、中なる土蔵では、
「――親分」
と、ひとりの黒ン坊が、
「こんなものがありましたぜ」
「ウム、革箱だな」
と言ったのは、本格な黒いでたちをした男、そばにも二人ほど控えていて、それだけは大長持に腰をすえ、
「明けてみろ……」
と、大風な顎ざし。
「白蝋がいッぱい詰まっています」
「用はねえ」
「親分――」
と、また厚布の袋をかついでそれへおく。
「これはどうでしょう」
「検ためるまでもねえ、煙草の葉だろう」
「そうらしゅうございます」
「すててしまえ」
スルスルと梯子をすべって来たのがまた何か見せると、用はねえ、違う、イヤ、それでもねえ、あれでもねえ、と次から次へ首を振って、ほとんど、この土蔵の中に何を求めるのか、かれの不機嫌に怖じおそれて、こま鼠のようにクルクル舞いしている黒衣