Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「そうだな」

新助が立って行ったかと思うと、程なくそこへ、千束の稲吉を伴って席へ帰って来ました。

「親分」

「お、稲か」

「秦野屋はまだ参っておりませんか。実あ、ゆうべおそく、話があるから此寺へ来いという飛脚があったので、日の暮れるのを待ちかねてやって来ました」

「九兵衛もそのうちに見えるだろう。……だが、てめえ達は、なんの為に、今夜おれの前でガン首をそろえようというのか」

「それは今に、九兵衛が来てから言うでしょう」

「そうか。……まあいい、折角の久し振りだ。今法達が酒の支度をしているから、今夜はゆっくり飲むとしよう。ところで」

と、急に庭先を振向いて、

「おい、八助」

「へい」

「ゆうべの返事は、たしかに訪ねて来ると言ったのだな」

「まちがいなく来ることになっています」

聞きとがめて、そばの者が、

「親分、秦野屋のほかに、まだ誰かここへ来るものがあるんですか」

「だから、少し静かにしていてくれ」

「へ」

「本堂まで訪ねて来ても、もし、奥の方で荒ッぽい声が聞えては折角な獲物を網から逃してしまう」

にわかにシンと声を沈ませて、

「たれですか。そいつは」

「お蝶」

「えっ、お蝶が」