Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
――なるほどこいつア美しいヤ、と腹のうちでつぶやいている。
「見ればお女中のようだが」
「ええ、あの……、こちらは、鼻寺というお寺ではないんでしょうか」
「左様、西蓮寺といいますが、俗に、鼻寺でも通っております」
「じゃあ、やっぱりここかしら」
「何か、人でもおたずねかな?」
「尼寺だというて、聞いて来たのでございますけれど、尼寺じゃないようだし……」
「ああ、それでは娘御は、江戸のお蝶どのという方ではないのかな」
「はい、そのお蝶でございますが」
「では、待ちかねている仁がございますぞ。さ、上がるがいい。……いや、そこから」
もっと念を押そうと思うまに、法達はスススと本堂の畳を摺って、内陣の暗やみから、一個の網雪洞をとって、それへ明りを磨りつけている。
――まだ半信半疑の気もちで、階段の上に立っているお蝶を振りかえって、
「いま案内をしてあげる。さ、そこに居て、すこし足でも休めなさるがいい」
「お咲は、こちら様に、居るのでございましょうか」
「只今、裏の庵室で、ちょっと、おつとめをいたしていますじゃ」
「そうですか、それじゃあ……」と、お蝶は初めてホッと気をゆるしました。