Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
口説くようにお常はおりんへ話しだします。
「その帰らないのも、もう十日や二十日ではないのでございますよ。どこを飛んで歩いているのか、親の心配も知らないで、ちッとも顔を見せません。で、毎日、今日は帰るか、あしたは来るかと、鍛冶小屋の軒に立って見ていますと、さっき、甲州路から来た一人の旅の人が、なんでも久米川の辺で、野槍を持ったそんな小僧がウロついていたと教えてくれたので、急いで探しに来たんですけれど……」
「見つからないのでございますか」
「足も声も疲れてしまって」
「それはまア……」とおりんは、お常の素足から血のにじんでいるのを痛々しそうにながめながら、
「人違いだったのでございましょう。あの子がこの辺にいるものなら、何で家に帰らずにいるものですか」
「そうすると、あれは他国へ行ったのでしょうか」
「さア、それは分りませんが」
「大それた子でございます。ほんとに末おそろしいようなやつで」
「いいえ、狛家のお嬢様まで、同じ頃に行方知れずになっているのですから、これには何か、ふかい理由があるに違いございませぬ。私はそれについて、拝島の関久米之丞の所へ様子をただしにゆくところですから、ことに依ったら、そこで仔細が分るかも知れません。