Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「このあんばいでは四十以上の人間だな。……だが、大きな鼻だな。長い顔だな……」

いくら退化した冬眠人間でも、そういじられてはうるさいとみえて、やがて、雲霧の手をつかまえたと思うと、目をさまして起き上がったふうです。

「おい。おい。おい……」

雲霧はその人間の肩をゆすぶって、彼の知覚を試みました。――自分の方を振り向いた様子です。この暗やみでも眼だけがかすかに光って見える。

「おい、大将」

どう呼んでいいか思いつかないので雲霧はこうよびました。しかし、起き上がった大将はさらに刺激されないと見えて、またぐンにゃりと寝ようとするので、彼はあわてて抱きとめて、

「誰だい、お前は? え? お前はだれだよ」

ほとんど、つんぼにものを言うようにくどく聞きますと、やっと気のない口を開いて、

「お前は誰かね」

と、初めて、人語をもらしました。

自分のことばを真似されたようなものでしたが、それでも、ひとりの話し相手を見つけたと思うと、雲霧は、この生ける墓場が少し明るくなったような気がして、

「おれかね。おれは江戸の者だが、おめえはやはり山の衆かい」と、答えると相手は俄かに嗜眠状態の神経をゆりさまして、