Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「御好意は分りますが、しかし、いくら自由にと言われても、帝鑑の間で昼寝をしているわけには行かず、鏡の間で欠伸もできず、評定の間でお茶漬をたべているわけにもまいりません。自然と、どこか老中若年寄などの目ざわりにならぬ、隅のお数寄屋でも拝借いたすことになるでしょう」
「そこが気楽なら其処もよかろうし、また吹上の庭の方へ参ると、梅の茶屋、菊の茶屋などと申して、樹林や池泉のほとりに、小さな茶座敷の棟がぽつぽつと建っている、あれなどもよろしかろう」
「居候馴れている万太郎のことでござる。その辺は如才なく、後ほど貸家を見つけてまいる」
「はははは、江戸城の中の貸家さがしは神君御開府以来始めての珍事であろうな」
「家主は新将軍の吉宗公、いずれ新統治の御善政ぶりを布かれる上に於いても、きびしい家賃の御催促はありますまい」
とすぐに万太郎の口から針が出る。
吉宗は鋭敏にその皮肉を感じましたが、彼また決して、すぐ顔色に出すような練れない人間でもありません。
「しかし万殿、仰せのとおり自分はまだ新世帯の持ちたてで多忙な体、滞在は随意じゃがおかまいは出来ないかも知れぬ」
「御念までもないこと、お側衆だの表役人だの申す手輩に、いちいち付かれていては窮屈至極、空家を見つけて入ったら一切おかまいない事に願いたい。