Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
一陣、夜更けをすさぶ野分の声があります。
ザア――ッと吹きめぐる風の渦は、山屋敷いちめんの畑や蔵や役宅や埋め門や、すべての黒いものの影へ、おびただしい落葉をフリ撒いて、同時に、塀ぎわで散らかッた十数人の魔形の行方を知れないものとしてしまいました。
翌日、山屋敷の騒ぎは案の如きものとなって、役宅からは与力が、また総長屋の同心や小者までが、大変という声を耳にすると共に、何事かと朝飯の箸をすてて、孤立した白壁の建て物の前へ駈け集まってくる。
わらわら飛んで来たはいいが、見るほどの者が皆そこへ来ると唖然として、棒を飲んでしまった形です。
官庫の扉が押ッ開かれている!
中は目もあてられない乱脈!
さらに、戸前の下には同心河合伝八の謎めいた死骸!
あまりの事に寄り集まった者が、胆をひしがれて茫然としていると、中にひとり盛んに驚き方を誇張して喋舌っている男がある。見るとそれは、大変! という第一声をあげてこの椿事を山屋敷じゅうにふれて廻った仲間の龍平で、
「まったく、あっしゃ、生れてから今朝みてえにビックリした事はございませんよ。何しろこれですからね。何の気もなく起き抜けに奥の物置へ掃除の道具を取りに行こうと思うとこれなんでさ」