Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「なんだろう? ここの家は」
床に入ってから、お蝶は不審に考えましたが、食物に温まった体が、風もない寝床を得たので、その晩は、不安も迷いもなく、ぐっすりと寝ついてしまう。
翌る日になると、
「お蝶さん、これを着てごらん、そして、この帯をしめてお見」
お千代が一重ねの衣裳をそろえてくれる。
古着らしいが、いい柄でした。お蝶はそれが何の為という結果も考えずに、言われるまま体に着けて見せると、
「ああ寸法もちょうどいい……それにお前さんには、ばかにうつりがいいじゃないか」
お蝶はいい気持になって、
「おばさん、私に、似合って?」
「少し目立ち過ぎるくらいだよ。あとでお角さんと銭湯へ行って、すっかり襟足をお化粧してごらん、ほかの女達はみんな影が薄くなっちまうよ」
「あら」
何しろお蝶は、永らく渇いていた着物の慾が少しでも満たされたので、その時は、ただお千代の好意に甘ッたれておりましたが、やがて灯ともし頃になると、お角という薄あばたのある中年の女が、お蝶に負けないほど厚ぼッたく白粉を塗りこくって、
「ねえや、あたいがお師匠さんになってあげるから、今夜から一緒においで」