Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かいじょうのみち

海上の道

柳田 国男

Lesen Sie 海上の道 (かいじょうのみち) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 182.344 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

アイが吹かぬか荷が無うて来ぬか

たゞしやにがたの河止めか

是などは新潟の次の湊、酒田とか新湊とか、能登の小木・宇出津とかの歌であろう。入船に都合の好い風をアイの風というようになって、幾らかは最初の意味がかわったかもしれぬが、とにかく海辺に住む者にとって、心のときめく風であったことは同じで、ただその強吹きの結果だけが、常に少しばかり気づかわしかったのかと思う。

ところが日本海の船運が進展して、海峡から東の大洋へ出て行くようになると、風の名の用法がやや変化してきた。全国の呼び方を集めてみると、宮古・八戸あたりの僅かな太平洋側の沿海だけに、陸から海に向けて吹く風を、アイと謂っている地帯があるように思う。是などは明らかに水上生活者の運搬であり、浜に住む者の古くから使っていた言葉ではないのであった。同じ一つのアユまたはアイという風の名でも、永い歳月に亙った経済事情の変化によって、眼に見えぬ重点の推移があった。海が島国の文化に貢献した一つの古い力は、形あるものの側では、今私などの寄物と名づけている継続した自然現象が、全く忘却せられてしまわぬまでも、少なくとも次第に軽く視られがちになってきたことは已むを得ない。