Japanische Klassiker mit Furigana
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かいじょうのみち
海上の道
柳田 国男
Lesen Sie 海上の道 (かいじょうのみち) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 182.344 Zeichen · 353 Bildschirme
近世に入ってからは、この記録はぽつぽつと現われている。本州の北端では津軽領の某浦に、延宝七年(一六七九)の四月、浦人磯山の頂に登って海上を見渡し、おびただしく鰯の寄るように見えたので、漁船を催して網を下げ、引揚げて見たところが、下腹の白く頭と背通りの赤い鼠億々無量、網にかかってあがるとあって、是はひる間の話のようで少しそそっかしい話だが、大きな網だからもう中止することができなかったものと見える。浜へ引寄せてから人々立寄り打殺したけれども、其鼠の残りども悉く陸へ上り、南部秋田領まで逃げ散り、苗代を荒し竹の根を食い、或は草木の根を掘り起し、在家に入りて一夜のうちに五穀を損なうこと際限なかりし。然るにその山中に入りたる鼠どもは、毒草でもあったものか、そこここに五百三百ずつ、一所に重なり合って死んで居たとあるのは、注意すべき事実であった。
この記事を載録した大田蜀山の『一話一言』には、それに附け加えて下総のシンカイという処でも、近頃島渡りの鼠と称して、漁夫の網に鼠がかかり、網を損じた例があると誌している。この近頃というのは文化文政の交と思われるから、津軽の事件から百三、四十年の後である。