Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme
青木が逃げ腰になると、悪党の斧村錠一も一人踏止まる勇気はなく、彼のあとについて、入口へと駈け出した。
「何をボンヤリしているのだ。諸君、そいつを捕えるのだ」
明智が叫んだけれど、余りの驚きに、夢に夢見る心持で、警官達は賊を追おうともしない。止めだてするものがないのを幸、二人の賊は、忽ち入口に達して、サッとドアを開き、いきなり廊下へ飛び出そうとした。だが、飛び出そうとした両人は何を見たのかギョッとそこへ棒立ちになってしまった。
「総監閣下どうも止むをえません。無礼の段はお許し下さい」
廊下から太い声が皮肉な調子で聞えた。見ると、ドアのすぐ外に立ちはだかった御馴染の波越鬼警部。その手にはピストルの筒口が気味悪く光っている。抜目のない明智小五郎は、万一の用意にソッとこの親友を呼び寄せて置いたのだ。
かくして白蝙蝠の一味、斧村、青木、竹田(例の箱の中に潜んでいた大河原伯の偽物)の三人は、何の造作もなく逮捕せられ、五名の警官がその縄尻を取って別間に引下がった。
傲岸不屈当代比類なき大政治家ではあったが、流石の大河原伯爵も、こんな変挺れんな、どんな悪夢の中にも滅多に出て来ない様な、奇怪事に出くわしたのは生れて初めてだった。