Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme
ひどい所だと思ったが、危険には換えられぬので、隠し戸を元の通りしめると、なるべく奥の方へ這って行って、身を縮めた。
真の闇である。両人とも囁き交す元気もない。お互いの烈しい動悸が聞きとれる程だ。
今にも鬼がやって来るかと、そうして待っている気持は、実に恐ろしい。
一分、二分、闇と無言の内に時が迫る。今来るか今来るかとビクビクものの、耳元へ、幽かに咳払いの声、ソラ昇って行くから用心しろとの合図に相違ない。両人共、一層固く身を縮めた。女の震えているのがハッキリ分る。
それから二三度同じ咳払いの声が、隠れん坊の両人を縮み上らせたが、妙なことに一向人の来る気配もない。アア、縄梯子が上に引いてあるからだな。だが、それがなくとも外にいくらも昇る手段はある。と考えている時、例の上げ蓋の辺でガタリと音がした。下から棒で突いているのだ。上げ蓋が開いたらしい。それからあの音は下から縄梯子を引きおろしたのかも知れない。案の定、やがて、ミシリミシリ縄梯子を昇る音だ。
愛之助は苦痛に耐えなかった。心臓が破裂しそうだ。彼は追いつめられた野獣の様に、闇の中でキョトキョトと視線を動かした。