Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme

Aozora Bunko

と、墨の様な闇中に、真紅の紐とも見える細い一筋の光線を発見した、オヤと思って見直すと、板壁に小さな節穴があって、そこから例の赤電燈の光が洩れていることが分った。

愛之助は本能的にその方へ這いよって節穴に目を当てた。今昇って来る奴の様子を見る為である。一方上げ蓋の方ではミシリミシリという音がやまった。梯子を昇り切ったのであろう。そいつはもう板壁一重の向側にいるのだ。だが、節穴が小さいのでその辺までは視線が届かぬ。向側の板壁が丸く限られて見えるばかりだ。

人の近づく気配、板壁に映る不気味な影、着物の肩先、最後に女の半身の大写し、この家の主婦の顔だ。

「お客様、お出になってもよろしいんでございますよ。本当に何とも申訳がございません。つい、それかと心配したのですけれど、何でもない人でございました。どうか御安心下さい」

「何のことだ。馬鹿馬鹿しい。それではさっきの咳払いは、単に縄梯子をおろせとの合図に過ぎなかったのか」

さて、この興醒めな出来事に、両人共何となく面はゆい気持になって、………………………、………………夜のあけるのを待ち兼ねて、袂を別った。

と云う一場の失敗談に過ぎないのだが、因果の関係というものは、どんな所につながっているか、考えて見ると不思議である。