Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme
「品川君、君、品川君だね」
愛之助は大きな声で呶鳴った。
すると、相手は返事をする代りに、ひょいと頭を引込めて、人ごみに隠れてしまった。
「ヤ、あいつだ。幽霊男だ。皆さんちょっとどいて下さい。あいつをつかまえなくちゃならないのですから」
だが迚も身動きが出来なんだ。
「つかまえてくれ。そいつを、つかまえてくれ」
愛之助が不作法にわめいたので、車内の顔という顔が、ハッとこちらを向いた。ゴチャゴチャと重なり合って、愛之助を見つめた。しかも、ゾッとしたことには、その顔がどれもこれも、一つ残らず、皆品川四郎の顔になっていた。
「ワッ」と叫んで、逃げ出そうとすると、何か邪魔になるものが、柔かくて重いものが、ドッシリ胸の上に乗っていた。はねのけてもゴムみたいに弾力があって、又戻って来る。ふと気がつくと、それは暖い芳江の腕であることが分った。
「どうなすったの、苦しそうだったわ」
「いやな夢を見た。……君が、胸の上にこの手をのせていたからだよ」
で、つまり、彼女は次の間の自分の床の中には寝ていなかった訳である。
だが、それから一時間程たって、ある瞬間、愛之助は相手をつき放して、部屋の隅へ飛びのいた。