Japanische Klassiker mit Furigana
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すさのおのみこと
素戔嗚尊
Lesen Sie 素戔嗚尊 (すさのおのみこと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.917 Zeichen · 86 Bildschirme
」
「そうですか。それは好い事を聞きました。そんな怪物には何年にも、出合った事がありませんから、話を聞いたばかりでも、力瘤の動くような気がします。」
櫛名田姫は心配そうに、そっと涼しい眼を挙げて、無頓着な彼を見守った。
「こう申す内にもいつ何時、大蛇が参るかわかりませんが、あなたは――」
「大蛇を退治する心算です。」
彼はきっぱりこう答えると、両腕を胸に組んだまま、静に一枚岩の上を歩き出した。
「退治すると仰有っても、大蛇は只今申し上げた通り、一方ならない神でございますから――」
「そうです。」
「万一あなたがそのために、御怪我をなさらないとも限りませんし、――」
「そうです。」
「どうせ私は犠になるものと、覚悟をきめた体でございます。たといこのまま、――」
「御待ちなさい。」
彼は歩みを続けながら、何か眼に見えない物を払いのけるような手真似をした。
「私はあなたをおめおめと大蛇の犠にはしたくないのです。」
「それでも大蛇が強ければ――」
「仕方がないと云うのですか。たとい仕方がないにしても、私はやはり戦うのです。」
櫛名田姫はまた顔を赤めて、帯に下げた鏡をまさぐりながら、かすかに彼の言葉を押し返した。