Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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そうもくちゅうぎょ

艸木虫魚

薄田 泣菫

Lesen Sie 艸木虫魚 (そうもくちゅうぎょ) von 薄田 泣菫 (すすきだきゅうきん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.254 Zeichen · 226 Bildschirme

Aozora Bunko

客は待ちかねてそれとなく催促をしてみた。

「お酒も何ですが、どうか画の方を……。」

「画の方……何か、それは。」

酒に酔った対山は、画のことなどはもうすっかり忘れているらしかった。

「さっき先生が私に描いてやるとおっしゃいました……。」

客が不足そうに言うと、やっと先刻の出鱈目を思い出した対山は、

「うん。そのことか。それならすぐにも描いて進ぜるから、今一つ重ねなさい。」

と、またしても盃を取らせようとするのだ。

こんなことを繰り返しているうちに、到頭夜になった。そこらが暗くなったので、行灯が持ち出された。

へべれけに酔っ払った対山は、黄ろい灯影にじっと眼をやっていたが、

「さっき画を進ぜるといったが、画よりももっといいものを進ぜよう。」

独語のように言って、よろよろと立ち上ったかと思うと、床の間から一振の刀を提げて来た。そしていきなり鞘をはずして、

「やっ。」

という掛声とともに、盲滅法に客の頭の上でそれを揮りまわした。

客はびくりして、取るものも取りあえず座から転び出した。

戸外の冷っこい大気のなかで、客はやっと沈着を取り返すことが出来た。そして朝からのいきさつを頭のなかで繰り返して思った。