Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.866 Zeichen · 318 Bildschirme
もう十九にもなる定吉は母親の後ろから顔を出して、大の男の泣くのを、世にも不思議そうに眺めております。
「新さん、お前さんは可哀想だね。――聴いちゃ悪いと思ったけれど、出逢頭で、逃げることも隠れることも出来ないんだもの、みんな聴いてしまったよ」
「…………」
「あの娘はね、あのとおりの気性者だから、お前さんの気持も考えずに、ポンポン切れ話をするんだろう」
「…………」
「新さん、お前さんの前だから言うんじゃないが、私は蔭ながら随分骨を折った積りさ。生さぬ仲の遠慮はあるにしても、あんまり勝手で見ていられないから、――どんな事があっても、新さんを捨てちゃ冥利が悪い、もう一度考え直すように――ってネ」
お仙は新吉の背でもさすってやりたい様子でした。房五郎の後添い、お駒のためには継母に相異ありませんが、本当によく出来た人で、三十八九にしては若々しい容貌と共に、町内でも褒めものの女房だったのです。
「…………」
新吉は恐ろしい激情に打ちひしがれて、口もきけない様子でした。二十一にもなっているくせに、気の弱い生れ付きで、男前でも立派でなければ、親分手合の房五郎の娘と、割ない仲になるような、大した貫禄の人間ではなかったのです。