Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.866 Zeichen · 318 Bildschirme
「旦那、これをすぐ御腰物方に届けて下さい、この上魔がさしちゃいけません」
「有難い、平次親分、この御礼は――」
石川良右衛門は畳の上に手を突いておりました。
「三千五百両で沢山ですよ、――さア、早く、――二度と入谷へ足を向けちゃいけません」
石川良右衛門は、夢心地で立去りました。
それに続いて、何が何やら解らぬままに引揚げる三輸の万七とお神楽の清吉。後に残った平次とガラッ八は、これも驚き呆れるお糸に暇を告げて、こう付け加えるのでした。
「お糸さん、父親のことは諦めるがいいぜ。御徒士町の店は立派に立ち行くだろうから、お前は駒吉と一緒になって、弟を見てやるさ」
「…………」
お糸は美しい眼を挙げました。父の敵はとうとう判らず、平次にお礼を言っていいか悪いか、その見当さえ付かなかったのです。
「八、娘や倅に罪はないよ。――石川の旦那も、あの大身代から、三千五百両出して、自分の首を繋いだと思ったら腹も立つまい」
帰り途、平次は面白そうにこう言うのでした。
「何が何やら、少しも解らねえ」
ガラッ八の鼻は蠢きますが、事件の本当の匂いは、どうも嗅ぎ出せそうもありません。