Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.866 Zeichen · 318 Bildschirme
「お座敷はこちらでございます。二階は混み合いますから」
小女が座布団を温めながら言うのです。
「混み合った方が正月らしくていいよ。大丈夫だ、人見知りするような育ちじゃねえ。――もっともこの野郎は酔が廻ると噛み付くかも知れないよ」
平次は後から登って来るガラッ八の鼻のあたりを指さすのでした。
小女は苦んがりともせずに跟いて来ました。二階の客は四組十人ばかり、二た間の隅々に陣取って正月気分もなく静かに呑んでおります。
「そこじゃ曝し物みたいだ。通りの見える所にしてくれ」
部屋の真ん中に拵えた席を、平次は自分で表の障子の側に移し、ガラッ八と差し向いで、威勢よく盃を挙げたものです。
「大層な景気ですね、親分」
面喰らったのはガラッ八でした。平次のはしゃぎようも尋常ではありませんが、それよりも胆を冷したのは、日頃堅いで通った平次の、この日の鮮やかな呑みっ振りです。
「心配するなよ。金は小判というものをフンダンに持っているんだ。なア八、俺もこの稼業には飽々してしまったから、今年は一つ商売替をしようと思うがどうだ」
「冗談で――親分」
「冗談や洒落で、元日早々こんな事が言えるものか。