Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.139 Zeichen · 233 Bildschirme
喉のあたりに大きく痣の残っているほか着物に取乱した様子のないのが、何かしら合点の行かないものがあります。
「この着物は五日前からズーッと着ていたのかな」
「いえ、一昨日の晩帰って来た時、あんまりひどい様子をしているので、着換えさせました」
お新はすぐ応えました。
「その着物を見せて貰おうか」
「ハイ」
立ち上がって、押入から袖畳みにした子供の着物を出して、平次の前に押しやります。
「フーム」
平次が唸ったのも無理はありません。着物はまだ真新しいのですが、ひどく埃と泥とに汚れて、所々には蜘蛛の巣が引っ掛っている上、幾つかの鉤裂まで拵えてあるのです。
一と通り眼を通すと、平次はその着物を熱心に嗅ぎ始めました。
「何か匂いがあるんですか、親分」
ガラッ八も大きな鼻を蠢かします。
「この匂いは何だと思う――」
「?」
「良い薫りだろう、線香の匂いにも似ているが、馬糞線香じゃない」
二人は顔を見合せるばかりでした。
「こんな匂いをどこかで嗅いだことがありますよ」
「思い出してくれ、頼むから」
「ヘエ――」
ガラッ八の鼻の穴は、何か遠い記憶を辿るように天を仰ぎました。
「ところで、誰かに怨まれているような心当りはないのかな、――元は身分の方だったと聴いたが」