Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.139 Zeichen · 233 Bildschirme
あの茶碗に付属物一式揃っていたら、五百両とか千両とかいう相場が付いて、大名の蔵か三井鴻池といった大町人のところに納まるものでしょう。
それがたった五十両で手に入るとは、何という幸運でしょう。この秋はあの茶碗の披露で一席催し、知っているだれかれを驚かしてやろう。
そんなことを考えながら、浜松町の路地を入って、ハタと当惑しました。三年前から養子の山之助に店を譲って、ここの奥の隠宅に引っ込んだ山右衛門は、不用心さを考えて手許に十両と纏まった金を置かなかったのです。
「弓、お弓はいるか」
「ハ、ハイ」
少しあわてて飛んで出たのは、お弓といって十九の娘。要屋の遠縁の者で、行儀見習に来ているのを、隠居が気に入って、この隠宅の方に引取って、下女のお仲とともに朝夕の世話をさせているのでした。
「誰か来ているのか」
「いえ、あの」
お弓は吃りました。本宅の手代で久吉というのが、これも遠縁で要屋に引取られているうち、不仕合せ同士のお弓と心易くなって、ツイ人目を忍ぶ仲になったのを割かれ、間がな隙がな、隠宅を覗いているうち、隠居が神明様の夜店へ行った留守、ちょっと滑り込んで、お弓と話し込んでいたのです。