Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.139 Zeichen · 233 Bildschirme
三十を越した出戻りのお仲は、お弓の素直さが気に入って、主人の留守には姉妹のように慰め合っていたのです。
「久吉さんはあんたにポンポン言うけれど、明日になれば後悔するに決っているよ。あの通り正直者だから、考えたことを口に出さずにはいられないんだね。――それがまた御隠居様の気に入らないのさ」
そんなことを言うお仲の声と、シクシク泣くお弓の声がしばらくは格子の外まで洩れておりました。
「御隠居様が、少し遅いようね」
お仲はフトそんなことに気が付いたのは、久吉が帰ってから四半刻(三十分)も経ってからのことです。
「そうね」
お弓はようやく乾いた顔をあげました。
「ちょいと、神明前まで行ってみようかしら」
気の早いお仲はもう立ち上がって仕度をしております。
浜松町の路地を出て、要屋の店の前を、神明の方へ行ったお仲は、近道をして路地へ入ると、そこに大変なものを見掛けたのです。
「人が死んでるとよ」
「何?」
「路地の中で、人が殺されているとさ」
どっと流れる人波、押されるともなく行ってみると、月の隈もない路地の中ほど、隠居の山右衛門は脇腹をえぐられて血潮の中に息が絶えているではありませんか。