Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.139 Zeichen · 233 Bildschirme
ガラッ八の巨蛇のような鼾声が、完全に若い女二人を護り通したのでしょう。
翌る朝、平次がやって行くと、八五郎はおよそ酸っぱい顔をして、何やら考えております。
「どうした八」
「あ、親分、お早う。――とうとう逐い出されてしまいましたよ」
「何が出されたんだ」
「あの娘が約束通り暇を出されて、ツイ先刻宿元へ下がったばかりですよ」
「下女のお文か」
「帰る時、そっと私に渡して行ったものがあるんで」
「何だい、それは?」
「もっとも、物を言う隙も、手紙を書く折もなかったが、これじゃまるで見当が付かねエ。ね、親分」
「娘が何を渡したんだ」
「これですよ、菱餅が三つ」
「そいつはとんだ判じ物だね。鮑ッ貝か何かなら恋と判ずるが――」
「冗談でしょう」
「菱餅じゃ古歌にもないとよ」
「ほんとうに何とか判じて下さいな、親分」
「どれ、見せな、――おや、おや、草色の餅と白い餅の間に、鍵の型が付いているじゃないか」
「ヘエ――」
「鍵の型があって鍵が無い――と」
平次の頭脳は忙しく働きました。昨日掛り人の与七から聴いた話の中に、この間から店中でいろいろの物が無くなり、大概は変なところから現れて来たが、用箪箭の小抽斗の鍵と、お文の櫛と、与七の紙入だけは出なかったということが、この菱餅の中に隠された鍵と暗合するのではなかったでしょうか。