Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.139 Zeichen · 233 Bildschirme
「そうだ。――部屋が暗いと外が明るい。――部屋をうんと明るくすれば、廊下はかえって暗いはずだ。何だって俺はこんなことが判らなかったんだ。――お元は年増でも女だ。身扮も色っぽいし赤いものを着けている。薄暗い廊下を通ってもすぐ判るが、あの壁の色と同じ茶色の着物でも着た人間が通ったら、部屋の中で飲んで騒いでいる人間には判らなかったはずだ。――八、この野郎を押えていろ」
「ヘエッ」
春松を放り出したガラッ八は、矢庭に馬吉に組付くと、その胸倉を取ってねじ倒しました。
平次は四方を見廻しました。何にもありません。恐ろしく念入りな貧乏暮し、土瓶一つ、鉢巻をした火鉢が一つの浅ましい世帯で、溝口屋の砂壁と同じ色の着物――それは御隠居の着る十徳か何かであるべきはずのもの、ここにある道理はなかったのです。
三尺の押入を開けると、煎餅蒲団が二枚、その下敷になっているのが、柿色の大風呂敷ではありませんか。
「これだ」
ズルズルと引き抜いて、パッと拡げると、隅っこの方にほんのわずかばかりですが、飛沫いた血潮の跡。
「馬吉、これでもまだ強情を張るか」
「へッ――」
ガラッ八の逞しい腕の中に、臆病馬吉はヘタヘタと崩折れると、女の子のように、シクシクとせぐりあげるのでした。