Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.139 Zeichen · 233 Bildschirme
馬吉は妙なことを言うのです。
「何をするんだ」
「つまらないことなんですが、平常あっしの臆病を笑っている六助と勘次の面を見てやりたいと思います」
「よしよし」
「親分、縛って下さい。縄付でないと睨みがききません」
「なるほど、そんなこともあるだろうな」
形ばかりの縄を掛けた馬吉を引っ立てて、平次は溝口屋の庭へ入って行きました。
多勢の子分達に交って、六助、勘次が、それを見送っていることは言うまでもありません。
「親分、ちょいと待って下さい」
「何だ」
縄付の馬吉は立ち止まりました。
「やい、六助、勘次。――伏見屋の親分の敵は、この俺が――臆病馬吉が討ったよ」
「…………」
「大きな面アしやがって何でエ。畜生ッ、恩知らず。馬鹿野郎ッ」
「…………」
言うだけのことを言うと、馬吉は絶句して、縛られたまま、ボロボロと涙を流すのです。
溝口屋の子分は色めき立ちましたが、平次と八五郎がついているので、今さら手出しもならず、六助と勘次は、こそこそと人の後ろに隠れてしまいました。
*
臆病の馬吉は、打首になるべきでしたが、溝口屋鐘五郎の悪事が平次と八五郎の骨折りでだんだん明るみへ出たのと、伏見屋の怨みを酬いたという筋が立って、三宅島へ遠島になり、二年の後には赦されて江戸に帰りました。