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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 137.868 Zeichen · 278 Bildschirme

Aozora Bunko

「実は少し無理な頼みだが、半日暇をもらって、唐花屋まで買物に行って貰いたいんだが、どうだろうネ、静坊」

「え、え、行って上げるわ」

なんというわだかまりのない返事でしょう。

「そいつは有難え、それじゃ御意の変らぬうちに――」

岡っ引と水茶屋の娘ですが、どちらも水際立った美男美女で、二人の胸には、いつの間にやら淡い恋心が芽ぐんできたのでしょう。とにかく話の運びの早いことは大変です。

両国から小日向まで駕籠、そこからわざと歩いて、唐花屋の入口に着いたのはかれこれ酉刻(六時)近い刻限でした。髪形をすっかり堅気の娘風にしたお静の後ろ姿――黄八丈の袷と緋鹿の子帯が、唐花屋の暖簾をくぐって見えなくなった時は、大日坂の下から遠く様子を見ていた銭形の平次も、さすがに眼の前が真っ暗になるような心持がしました。唐花屋がどうという、突き止めた疑いがあるわけではありませんが職業的第六感とでも言いましょうか、――このままお静を犠牲にするのではあるまいか――といった予感が、平次の頭をサッとかすめて去ったのです。

「へちまの水を下さいな」

お静は一向そんな事を構いません。物馴れた調子で日傘を畳みながら、店がまちへもう腰を下ろしております。