Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
と言えば、もうそれきりなのである。
「いやあ、僕には意見がありませんよ。及落どちらでも結構ですな」H教授はそう言ってにやりと微笑った。
「三人とも落第ですな」
「ええ、三人とも――」H教授は嬉しそうにうなずいた。なにかしら満ち足りた気持だった。H教授は昨夜毛利豹一が自分を訪問して来たことをちらと想い出していたのである。
書斎に通すなり、
「君、用件は何だね?」
「はあ」豹一はさすがにもじもじしていた。その赧くなっている顔をH教授はちょっと可愛いと思った。独逸に留学していた時、こんな顔をした中学生がビールの飲み競べをやっていた。こいつは余り飲めそうにもない。姉の結婚式で二、三杯盞をなめて、ふらふらになって泣き出す手合だろう。
「僕は朝から算盤を手から離したことがないんで。点数の勘定で忙しいんだよ。用件を早く言ってくれ給え」
「はあ、その点数のことなんですが」
「点数のことは致し方ないよ、どうにもならないよ」
「なりませんか? そうですか」豹一は思わず立ち上りそうになった。人に頭を下げるのがいやなのである。が、さすがに、これは思い止った。実は、朝から赤井、野崎らと手わけして悪い点を取りそうな教授を訪問しているのである。