Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
髪の毛は油気もなく、バサバサと乾いていた。仕立物の賃仕事に追われていたのだと、豹一は見るなり思い掛けず涙が落ちた。昨日までうかうかと高等学校の生徒であったことが、われながら不思議なくらいだった。呑気に赤井や野崎と遊び廻っていたことなど遠い昔のようだった。想い出されもしなかった。想い出せば、母親に済まない気持になるところだった。高等学校を止めたということが極く当然のことだったと、今はその気持がすっかり身についてしまった。
高等学校の学資は秀英塾から出ていたから、もう母親は針仕事の必要もないと豹一は思っていたが、そう言う訳には行かなかったのだ。豹一に小遣を送ってやるためだけではない。豹一が中学校へはいった時に、お君は安二郎から金を借りた。借りただけの額は全部渡してしまった筈だのに、安二郎は、
「わいの計算では未だ三百円残ってる。これでもお前のことやから大分利子をまけたってるねんぜ」そしてお君の貰う仕立物の賃をまきあげるのだった。お君は豹一に送るために貯めている金を隠すのに苦労した。
そんな事情がわかると、豹一は、なんと言う夫婦だ、これでも夫婦といえるかと、もう少しで安二郎と別れてしまうように母親を説き伏せるところだった。