Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
それぐらいあいつでも知ってくさるやろ。高等学校まで行きやがって、それ知らんのやったら、こら学校の教育方針がわるいネやぞ)
安二郎は豹一がいまは一人前の月給取であることに、父親の顔で悦に入った。
丁度その時、戸外にしょんぼりした足音がして、今日失業したばかりの豹一が帰って来た。道頓堀の勝に撲り倒された屈辱をもて余して、当もなく夜更の街をさまよい歩き、もう十二時近かった。
豹一は安二郎の寝巻姿を見て、途端に胸が塞がった。安二郎の着物を畳んでいる母の姿が眼に痛かった。
「どないしてん? えらい遅かったやないか」お君が言ったが、豹一は返辞をせず、さっさと二階へ上ってしまった。むろん安二郎にも挨拶一つしなかった。
そんな豹一にお君はふっと取りつく島のない気持を感じたが、しかしお君はそれを苦にもせずえらい物言わずの子やなあと、ただそれだけだった。しかし、豹一の寒そうな後姿を見て、
(オーバーたらいうもん買うてやらんならん)
この頃針仕事の賃を、安二郎の言うままに渡して来たことを、お君はちょっと後悔した。
(内緒で銭を蓄めんならん)長い睫毛のうしろで綺麗な眼の玉をくるりくるりまわしながら、針箱の抽出へこっそり隠すべき一円紙幣や五十銭銀貨を頭に描いた。