Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
一名採用するというのに、この失業者の群はなんということかと、豹一はそんな世相をひとごとならず深刻に考えるまえに、そうした列に加わることに気恥しく屈辱めくものを感じた。よっぽど帰ろうかと思ったが、しかし、ここを逃しては、当分就職口はあるまい。どさくさまぎれの気持で、しょんぼり列のうしろに並んだ。
無意味に待たされて、その列は一時間ほどじっと動かなかった。寒さと不安に堪えかねて、ひとびとはしきりに足踏みしていた。九時過ぎにやっと動きだしたが、摺足で歩くほど、のろい進み方だった。前の方から伝って来た「情報」によると、先ず一人一人履歴書を調べられているらしく、それを通過したものだけが直ぐあとで筆記試験を受けることになっているらしかった。中学校卒業程度以下の学歴の者は文句なしにはねられるらしいと、いいふらす者もあった。(すると中学校も案外出て置くべきだな)あまり感心の出来ない調子で、豹一は呟いた。
筆記試験へ残った者は百人ばかりあった。豹一もその一人だった。三階の講堂へ詰めこまれると、豹一はわざと出口に近いいちばん後列の席に坐った。嫌気がさした時、試験の最中にすぐ飛び出せるための用意で、なかなか手廻しが良かった。