Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

それを一言も咎めなかった編輯長に、豹一は好感をもった。

「じゃあ、あした来ます。九時ですね」

「そうしてエ」

局長室を出た途端に、豹一は、「やあ」と、声を掛けられた。筆記試験の時壇上で妙な演説をやった男だった。

「君、入社したんですか」

「はあ」

「今日は用事ないんでしょう?」

「はあ」

「あったって構わん。お茶のみに行こう」男はさっさと階段を降りて行った。豹一もうしろからついて行った。

社の表に一人の男が空を仰いで突っ立っていた。

「今日の天気はどないです?」豹一の連れの男はそう声を掛けた。

「さあ、雪でんな」空を仰いでいた男が言った。

「降りますかね」

「降りまんな」

社の近くの喫茶店に落着くと、男は、

「いまの男は販売部長や。天気予報の名人やと自称しとるらしいが、満更当らんわけでもない。毎日空模様を見て、その日の印刷部数をきめるのがあの人の仕事でね。雨が降ると、立売が三割減るからね、なかなか販売部長も頭を悩ますよ。雪か。雪なら四割減るかな。――君傘は? ……傘いるよ」と、ひとりで喋った。「何をのむ?」

「珈琲で結構です」

「遠慮しなさんな、君に払わさんというわけでもないからね」