Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
土門の煙草の吸い方はあきれるほど早かった。三分ノ一ほどせわしく吸うと、もう新しい煙草に火をつけている。それが休む暇もないのである。マッチをつけるのがもどかしいらしく、煙草から煙草へ火を吸い移すのだ。瞬く間に一箱を平げてしまうその早さに、一日掛って一箱がやっとの豹一はあきれてしまった。が、豹一が注意をそそられたのは、そのことだけではない。よく見ると、土門は必ず煙草の端をやたらに濡らすのである。そして、濡れたところをしきりに手でもみほごす。しまいにはそこをひき千切ってしまって、そして、ペッペッと煙草の葉を吐き出す。すると、もうそれを吸うのがいやになったらしく、やに色に焦げた指先で新しい煙草を取り出して火を吸い移している。話しっ振りの飄々たるに似合わぬ、なにか苛々とした焦燥がその吸い方に現われていたのである。なお注意して見ると、土門は話しながら、しきりに煙草の箱を千切っているのだ。瞬く間にテーブルの上が紙屑で一杯になってしまうのだった。千切るのは煙草の箱だけではない。マッチ、メニュー、――手当り次第だった。
話しっ振りも動作もどちらも行儀がわるいと言ってしまえば、いちばん分り易かったが、しかし、豹一はなぜかその土門の苛々した態度になんとなく奇異なものを感じたのだった。