Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
レヴュガールが三人、ぽかんと突っ立っている豹一の前を通り過ぎたのだった。弥生座へはいって行くその後姿を見て、豹一はふとそのなかの一人が靴下も穿かぬ足を寒そうに赤くしているのに、心を惹かれた。
土門はなかなか現れなかった。豹一にとっては気の毒な話だが、土門は約束の時間を守らないことで定評があった。遅れて来ることもあれば、むやみに早く来ることもある。早く来た時は、相手の来ぬ間にしびれを切らして帰ってしまうので、結局来ないのと同じ結果になるのだった。今日は遅れて来るつもり――いや、土門に「つもり」などがあろうか、ともあれ遅れて来るらしい。当分豹一は待たねばならない。
土門が来るまでに、大急ぎで土門に就いて述べて置こう。
土門は自分では五十歳だといいふらしているが、本当は三十六歳である。しかし、如何にも三十六歳らしい顔をしている土門の印象を捉えることは容易ではない。つまり非常に老けて見えたり若く見えたりするのだ。土門は自分自身の印象を変えるために、随分苦心していると、思われる節がある。たとえば豹一が見たのは頭髪をむやみに伸ばして眼鏡を掛けたところだったが、一月経てば、丸坊主になり、眼鏡を外してしまっていないとは保証出来ないのである。