Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
編輯長の前で随分へまなことを言ったことを想えば、どうあってもこの「大任」を果さねばならぬ。豹一はひどく落着きがなかった。淀屋橋まで来たが、足は止まらず、一気に肥後橋まで来てしまった。
交叉点で信号を待っている間に、豹一はふと村口多鶴子の記事をよむために新聞を買うことを思いついた。朝日ビルの前で一そろいの新聞を買った。そしてビルのフルーツパーラーへはいって片っ端から読んで行った。
世事にうとい豹一は村口多鶴子に関しては全く無知といって良かった。その名前も編輯長にいわれてはじめて知ったぐらいであった。「罪の女優」だとか「嘆きの女優」だとか新聞の見出しに使われている意味がちっともわからなかった。新聞もそれに就ては詳しく書かなかった。もはや散々報道されつくして、映画ファンでなくても誰でも知っている事実であったから、わざわざ村口多鶴子が「罪の女優」である所以を説明する必要もなかったのである。
買って来た新聞に全部眼を通したが、結局豹一は村口多鶴子の罪や嘆きに就ては得るところがなかった。(なにが「罪」なもんか?)と、豹一は軽率にも呟いた。新聞に出ている村口多鶴子の顔には、罪とか嘆きとかいった印象は全くなかったのである。