Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
佐古はそれを見ると、豹一がお代りを催促しているのだと、感ちがいして酒を取りに行くべく、その場をはずしてしまった。あとには豹一と多鶴子は無意味に残されて、物も言わずに向き合っていた。目まぐるしく交錯する赤、青の光線が思い切ってはだけた多鶴子の白い胸を彩っていた。多鶴子の顔が正視出来ないので、豹一は自然胸のところばかり見ていたが、赤く染められた胸の静脈が急にぴりりと動いた。そして、多鶴子は微笑の仮面を不意にはずして、眉をひそめた表情になった。余り豹一が黙ってばかしいるので、多鶴子もいらいらして来たのである。しかし、豹一はなおも口が利けなかった。どんな風な質問をして良いのか、さっぱり見当がつかなかった――というよりも、むしろ気遅れがしていたので。
多鶴子は莫迦にされているような気がした。無躾に質問される方が未だしもだと、思うぐらいであった。多鶴子はふっと顔をそむけて、窓の外を見た。道頓堀川の暗い流れに、「オリンピア」のネオンサインの灯影が歪になって、しきりに点滅していた。寒々としたながめだった。(なぜこんなところに働く気になったのだろうか?)改めてそのことが後悔された。