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Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

また、多鶴子の映画を見てひそかに不逞な想像をしていた者もいるだろう。

(おれは村口多鶴子の恋人だ!)という自負心の満足はしかしちっともなかった。それどころか、いかにもダンスをやりそうな気障な服装の男を見ると、豹一は周章てて首を振った。

戎橋の上で豹一はふと立止った。

対岸のキャバレエ「銀座会館」からジャズバンドの騒音がきこえていた。宗右衛門町の青楼の障子に人影が蠢いていた。よく見ると、芸者が客と踊っているのだった。軽薄な腰の動きが豹一の心をしめつけた。冷たい川風が吹きあげていた。

ふたたび歩き出した途端、傍をすれちがった女のコートを見て、豹一は思わず、あ、寒さを忘れてしまった。多鶴子だった。

そう気づくより前に、多鶴子の傍に並んで歩いている男の顔を、矢野だと、気がついていた。

「…………」呼ぼうと思ったが声が出ず、豹一は唇まで真蒼になった。

駆け寄って、いきなり多鶴子の顔を撲る――と、咄嗟に頭に泛んだが、実行出来ず、やっとの想いで足を引き抜くようにしながら、急いで二人の前へ抜け出ると、素知らぬ顔をつくろってゆっくりと歩き出すのが関の山だった。そんな風な下手な思わせぶりなことしか出来ないのを、さすがに悲しいと思ったが、いったん素知らぬ振りをした以上そうして歩き続けるより仕方なかった。