Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
「でもあんな風に書かれましたら、……」
「どない書きよっても構へんやないか。君はなにか、中央新聞の記事を認めるのんか。中央新聞の威力におそれを成してるのんか。君は中央新聞の廻し者とちがうやろ? そやろ? そんなら、あんな記事黙殺したら良えやないか。それよりうちの新聞にひとつ良え記事書いてえな」その言葉で、馘首ではなかったことがはっきりわかったも同然だった。
豹一はこれまであらゆる人間を敵愾心の対象にしていた。人を見れば泥棒と思えのでんで、人さえ見れば自尊心を傷つけて掛って来るものと思って、必要以上に敵愾心を燃やしていたのである。
ところが、そうした編輯長の大阪弁まるだしのとぼけた話し振りに接していると、なにかしみじみとした雰囲気に甘くゆすぶられる想いで彼は敵愾心に苛立っている日頃の自分の醜さに恥しくなった。豹一は泣きたいぐらいの甘い気持で、編輯室を辞した。
外に土門が待っていた。
「どうだった?」
「馘首じゃなかったです」そう言うと、土門は、
「そうだろう? おれの言うことに間違いはないだろう? 感心したろう?」
「はあ、感心しました」
「二円貸してくれ」
この際、こんな風に金を借りられることもなにか気持が良かった。