Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
紀代子は豹一の姿を見ると、瞬間いやな気持になった。昨日はちょっと豹一に好感を持ったのだが、こうして今日もまた待ち伏せられてみると、此の少年も矢張りありきたりの不良学生かと思われたのである。
紀代子は素知らぬ顔で豹一の傍を通り過ぎた。豹一は駈寄って来て、真赧な顔で帽子を取ってお辞儀をした。すると、紀代子は、
(今日こそ此の少年を思う存分やっつけてやろう。昨日は失敗したが……)
こんな事を自分への口実にして、並んで歩いてやることにした。実は豹一の真赧な顔が可愛かったのである。ところが、豹一はまるで一人で歩いているみたいに、どんどん大股で歩くのだった。真赧になった自分に腹を立てていたのである。紀代子は並んで歩くにも、歩きようがなかった。
「もう少しゆっくり歩かれへんの?」われにもあらず、紀代子は哀願的になった。
「あんたが早よ歩いたらよろしいねん」
(こいつは上出来の文句だ)と豹一は微笑んだ。紀代子はむっとして、
「あんた女の子と歩く術も知れへんのやなあ。武骨者だわ」嘲笑的に言うと、豹一は再び赧くなった。女の子と歩くのに馴れている振りを存分に装っていた筈なのである。