Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
「私でっか。私は如何でもよろしおま」表情一つ動かさず、強いて言うならば、綺麗な眼の玉をくるりくるり廻していた。
あくる日、金助が軽部を訪れて、
「ひとり娘のことでっさかい。養子ちゅうことにして貰いましたら……」
都合が良いとは言わせず、軽部は、
「それは困ります」と、まるで金助は叱られに行ったみたいだった。
やがて、軽部は小宮町に小さな家を借りてお君を迎えたが、この若い嫁に「大体に於て満足している」と、同僚たちに言いふらした。お君は白い綺麗なからだをしていた。なお、働き者で、夜が明けるともうぱたぱたと働いていた。
――ここは地獄の三丁目、行きは良い良い帰りは怖い。と朝っぱらから唄うたが、間もなく軽部にその卑俗性を理由に禁止された。
「浄瑠璃みたいな文学的要素がちょっともあれへん」と言いきかせた。かつて彼は国漢文中等教員検定試験を受けて、落第したことがあった。それで、お君は、
――あはれ逢瀬の首尾あらば、それを二人が最期日と、名残りの文のいひかはし、毎夜毎夜の死覚悟、魂抜けてとぼとぼうかうか身をこがす……。と、「紙治」のサワリなどをうたった。下手糞でもあったので、軽部は何か言い掛けたが、しかし満足することにした。