Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

だから愛情にかられるということが必要であった。ところが彼は愛情の前で奇妙な困惑を感ずる男だった。人に愛された経験がないのである。自分は人に愛される覚えはないと思い込んでいるのである。

豹一は何のために散歩しているのかわからなかった。元来彼は何ごとにつけても、自尊心の満足ということ以外には意味をつけることは出来ず、お駒との散歩もむろんそこから出たものだったが、たいした効果はなかったのである。一緒に歩いているところを誰かに見て貰えば、それで自尊心が満足されると思っていたところ、見られたために却って自尊心が傷ついてしまった。

ある日、植物園を散歩していると、北園町から自転車で通学している桑部という同じクラスの者に見つけられた。豹一は瞬間緊張して、桑部の眼の色の中に効果を計算しようとした。ところが桑部は自転車の上から、ちらっとお駒と豹一を見並べて、にやりと薄笑いを泛べて通り過ぎてしまった。少しも羨望らしい表情はなかった。桑部は自転車に乗っていたから、案外軽い気持で、二人の顔が見られたのである。呼鈴を鳴らして走って行った桑部のうしろ姿を見て、豹一は桑部はたしかに俺を嘲笑したと思った。