Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lisez 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 150 635 caractères · 306 écrans
「ま。どうしたんです。おまえは」
抱き起してやると、爺やは、起されながら、
「行って……行って見てあげて下さい。おはやく、間に合わないといけません」
「どこへ。何ですか。いったい」
「わたくしのいる病棟のいちばん奥の病室へ、た、たった今、与倉中佐どのが、担架で運ばれて来ました。重……重傷だそうです」
「えっ、与倉さまの御主人が」
「御産婦に知れても、いけないだろうし、御重態の中佐に、嬰児さまの泣声が聞えてもいけまいと、わざと、わたし達の病棟へ持って来たらしゅうございます。樺山参謀も、どこか負傷なされたとみえ、軍服を真赤に染めておいでですが、中佐の枕元で、与倉っ、しっかりしろと、励ましていらっしゃるようで」
みなまで聞かないうち、彼女は長い廊下を駈けて行った。
四号病舎のかどまで来ると、副官を伴って、大股にそこへ入ってきた良人とばったり会った。鎮台総司令官、谷干城少将である。
はたと、眼を見あわせたきりで。――彼女はだまって、副官のうしろについて歩んだ。
病室の内は、ひそとしていた。軍医の手当が終ったところらしい。終日の激戦に、血と泥にまみれ、さらに自身の新しい血しおに濡れた患者のうえに、手洋燈をかかげていた看護卒は、ホヤの上からそれをふき消して、後へ退がった。