Classiques japonais avec furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lisez 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 150 635 caractères · 306 écrans
四
と、云ったのを、石舟斎がひどく感心して、それ以来、つい子どもへも、口ぐせになって出ることばであった。
胤栄が云った尺八のはなしというのはこうである。彼が、多年の経験に依ると、尺八を作るため、よい竹を探し求め、多年手にかけてみると、結局、地味も肥え、陽あたりもよい南向きの藪に育った竹からは、一本の名管も生れたためしはない。
それに反して、地は痩せ、冬は氷や霜ばしらに虐げられ、生れながらの若竹のうちから、蕭々と寒風に苦しめられて育った北向きの藪からは、勿論、笛にもならない拗者もできるが、多くの名管はみなそこから生えた竹にかぎる――という話なのであった。
四
「老父のお眼からみれば、なおわしは、陽なたの竹か」
宗矩は恥じた。
ことし男子の三十歳ともなって、徳川家の一麾下となり、三千石の知行をうけて、奉公にある身が――と慚愧せずにはいられなかった。
また、不孝の大なるものと思った。
なぜなれば、石舟斎が、そういう胸のうちには、尺八の例もよく弁えながら、子を育てる親には、どうしても子を南の藪に育ててしまう――平常の反省と苦慮と愛情とが蟠っているからである。そして今宵――もう三十になったわが子を見てもなお、心ひそかに、陽なたの竹に育てたという悔いをにじませている胸を察しると、宗矩は必然に、