Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lisez 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 150 635 caractères · 306 écrans

Aozora Bunko

三

「甲斐守様がお越しになりました。――黒田甲斐守様が、ほんのお身軽で」

と、あわただしく告げた。

石舟斎は、鍬の柄を立てて、

「なに、長政殿が」

と、坂下へ目をやった。

馬を家臣の手にあずけ、ただ一名で、もうこれへ登って来る人が見える。黒田甲斐守長政の姿であった。

三

長政は、黒田如水の嫡男であった。

彼はまだ若い。しかし父官兵衛孝高が早くも薙髪して、その封土豊前十六万石の家督を譲っているので、長政は若くしてすでに一城の主であり、京大坂にあっては、錚々たる若手の武将だった。

「やあ、老先生。えらい姿でお働きですな。この辺の地震の被害も、思ったより大きいので、道々、驚いて参りました」

長政は、師礼を執って、石舟斎の前に、こう挨拶した。

石舟斎は、木陰の床几へ、彼を招じ、自分も一憩みと腰かけて、

「いつもお身軽ではあるが、今日はまた、何事で?」

と、来意をたずねた。

双方、気軽な応対のうちに、親しみがある、情味が見える。石舟斎は、長政の恩師であり、長政は、石舟斎の愛弟子だった。

多年、剣の究明に没入して、世事をかえりみなかったために、石舟斎は領地をも失ったが、その代りに心には不動の光明を点じ、周囲にはいつとなく有為な弟子が多く集まっていた。