Classiques japonais avec furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lisez 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 150 635 caractères · 306 écrans
七
――弁之助。行こう」
姉には敵わない。藤勝はぷいとそこから立ち去ってしまった。
七
「父上。由利どのは、質子構えにおる柳生新介の所へ、時々、行っておりますよ。いいんですか、あんな所へ女が行って」
藤勝が、或る折、口を尖らして、順昭へ告げ口すると、順昭は、非常に怖い顔を示して、反対に叱りとばした。
「何を云う。由利は、学問好きゆえ、新介がよく書を読むので、解らぬ所を質しに行くのじゃ。そちもちと、新介について、学ぶがいい」
藤勝はまた、新介のために叱られた。
順昭は、すでに自分の末娘の由利を以て、密かに新介へゆるしていたのである。和睦して六年、柳生家との間も、その後は至って円満なので、わが娘の一人を柳生家に入れ、それを機に、新介の身も、花嫁の輿と共に、柳生ノ庄へ帰してやろうと考えていたのだった。
父のそんな深い胸は知ろう筈もなく、藤勝は、それから四、五日後、新介が馬場から帰る途中に待っていて、
「おい、おい、擒人の新介。待て」
弁之助と二人で呼び止めた。
新介は、馬の稽古の帰りなので、身軽に扮装ち、少し汗ばんだ顔をしていた。
「これは、若殿でございましたか。何かご用ですか」