Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lisez 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 150 635 caractères · 306 écrans

Aozora Bunko

十三

四

雪や泥にまみれた姿のまま、岡本軍曹は司令部の一隅に直立していた。

彼は俥夫の身装をしていた。川尻方面の動静を探るために、三等出仕の烏丸一郎とふたりで、昨日から敵のなかへ深く這入って行ったが、烏丸が薩軍の哨兵に発見されて追われたため、彼はひとりとなって辛くも復命に帰って来たのであった。

「賊軍前衛の別府隊は、今夜、水俣に宿泊し、あすは川尻まで前進するかと思われます。第六第七の二箇大隊で、千六百人の主力です。――一方、桐野・篠原・池上隊などは、玖満(球磨)川を下って八代へ向っています。西郷殿の所在は確とわかりませんが、横川に宿営したのが事実のようであります。――そして薩軍がこの熊本の市中へ侵入して来る日は、多分、二十日の午前中になるかと考えられます。――以上、終り」

谷将軍と幕僚のすがたを前に、岡本軍曹は一息に報告した。

「御苦労だった」

将軍は、彼の労を宥ってから、

「烏丸はどうしたか」

「賊兵に発見されて、追い廻されましたが、貴様だけ逃げろ逃げろと、彼が叫ぶので、報告も大事と、先へ走って来ました」

「では、捕虜になったか」

「いえ、敏捷な烏丸のことですから、逃げきったろうとは思いますが、もう到る所に、賊軍の偵察隊や哨兵が出ていますから、どうかと、途中が案じられます」