Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 104 139 caractères · 208 écrans
巽九八郎は一向平気ですが、妙子も私もたまりません。
「妙子さんと君は何んな関係にあるか知らないが、斯う言うことは本人の心持が一番大事だ、すべてを妙子さんの意志に任せよう、私は高円寺の方へ行く、君は其処に立って居るなり、家の方へ帰るなりし給え、サア、妙子さん、貴方の生涯の岐れ目だ、何方へでも自由に、貴方の道を選択して下さい、私は一万円の金には少しも未練は無い」
その時の私の心持は、本当に虚心坦懐そのものでした。二人を見捨てたような心持で、後を見ずに高円寺の通りの方へ十歩ばかり進んだのです。私は一体、妹にしろ内縁の妻にしろ、人間を競売にするような男の手から、一人の女性を救い出す積りでやった仕事で、妙子に対して、その時はまだ大した執心も持って居なかったのです。
振り返って見ると、驚いた事に、妙子は私の方へ静かに静かに歩いて来るではありませんか、手を差し伸べ度いような、物悲しい顔で――、
「馬鹿ッ、俺を捨てるのか、売女、畜生、覚えて居るがいい」
恐ろしい呪いの言葉を吐き散らす九八郎の顔は、夕闇の中に醜く引き歪められて、不思議に、何時までも何時までも私の眼に残りました。