Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lisez 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 104 139 caractères · 208 écrans

Aozora Bunko

浪曼主義者桜子

――さらばで御座います、おいとしい桜子様、構えてこの事は人に仰しゃいませんように」

紫の雲が揺ぐように、若衆の姿は二枚折の蔭に隠れると、其の儘音もなく消えてしまいました。

護持院の暁の鐘。

桜子はゾッと襟をかき合せました。緋鹿の子を絞った長襦袢が少し崩れて、燃えるような紅の綸子の夜の物が、砕けた花片のように桜子の膝を埋めます。

浪曼主義者桜子

江戸、神田橋外に一町四方の屋敷を構え、苗字帯刀を許されて、将軍家お金御用達を勤むる相生総左衛門、最早六十左右の老体ですが、今年取って十九歳の、桜子というのがたった一粒種、本当に簪の花も、掌中の珠も及ばず、手塩にかけていつくしみ育てました。

これがまた、たった一つ実った果物のような素晴らしい出来栄、歩めば大地の上に、歩一歩花が咲くのではないかと思われる位い、暗闇の中に置くと、かぐや姫のように、輝いたと云われる程の美しさです。

これだけ美しくなると、娶合せるような人間の男は、そうザラに転がっては居りません。縁談は降るようにありますが、選り好みするともなく、到頭十九の春を迎えてしまいました。

父の総左衛門は、取る年と共に気があせって、いろいろ娘の心を引いて見ますが、まるで相手にしません。