Classiques japonais avec furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 104 139 caractères · 208 écrans
不吉な陰影歓楽の終局
斯う言った、怪しからぬ生活が、一年あまり続きました、世界に私ほど幸福なものは無いと信じ切って、あらゆる冒涜的な、猥雑な遊戯を、倦くことも無く繰り返して居たのです。妙子の身体は実に無尽蔵な香料で、私の生活を無限に鼓舞してくれました。
不吉な陰影歓楽の終局
この冒涜的な悪魔の歓楽も、とうとう呪われる日が来ました。何時の頃からともなく、妙子の健康が衰え初めて、恐ろしいヒステリー症状が幾日も幾日も続いた後、間もなくドッと床に就くようになってしまったのです。
可哀想な妙子は、昼も夜も、打っ通し悪夢に襲われました。脂のような冷汗を掻いて目を覚すと、床の上に掛けた、自分の肖像――あの先の夫の巽九八郎が描いた裸体の半身像が、いとも和やかに妙子の苦悶を見下して居ると言った、不思議な日が続いて行きました。
「何うしたんでしょう、私は怖い」
一日のうちにも、三度も五度もこんな事を言って顫える妙子の顔は本当にいじらしいものでした。大きな眼を見開いて、唇の色をすっかり無くして、何時間も何時間も、四方を斯うキョロキョロ見廻して居るのです。
そうかと思うと、鉛のような憂欝が、幾日も幾日も続きました。